2026年7月28日16時27分、熊本県熊本地方を震源とするマグニチュード7.1の地震が発生し、宇城市と八代郡氷川町で最大震度7を観測しました。気象庁はこの地震を「令和8年熊本地震」と命名し、発生直後から国土地理院や国土交通省など複数の公的機関が、位置情報技術を駆使した災害対応を進めています。本記事では前回に続き、衛星データ解析や地理院地図、道路の通行情報マップなど、今回の熊本地震で実際に活用されているGIS(地理情報システム:地図上に位置情報付きのデータを重ね合わせて分析する仕組み)や位置情報技術を、公的機関の発表内容をもとに紹介します。
令和8年熊本地震の概要
令和8年熊本地震は、2016年の熊本地震以来10年3か月ぶりに熊本県内で震度7を観測した地震です。国内で震度7が観測されたのは、2024年の能登半島地震以来2年6か月ぶりとなりました。地震のメカニズムは横ずれ断層型とされ、有明海・八代海には津波注意報も発表されています。気象庁は地震活動の関連情報ページで、推定震度分布図や震度別の地震回数などを地図・図表として公開しています。

出展:気象庁
最大震度別地震回数表(令和8年7月28日16時~)
国土地理院によるSAR干渉解析と地殻変動の可視化
国土地理院は、地球観測衛星「だいち2号」「だいち4号」の観測データを用いたSAR干渉解析(InSAR)を実施し、地表がどの程度動いたかを面的に把握しています。あわせて、GNSS連続観測(電子基準点)による地殻変動データも順次公開されており、地震活動の実態把握に役立てられています。同じ「だいち2号」「だいち4号」の観測データは、JAXAの災害情報プロダクト一覧でも公開されており、衛星から得られた災害速報図を誰でも確認できます。
震源断層モデルと活断層図の公開
7月29日には暫定の震源断層モデルが発表されました。同時期から、阿蘇・熊本改訂版・八代改訂版・日奈久の各地域について活断層図が地理院地図上で公開され、位置情報付きの画像データ(GeoTIFF形式)としてもダウンロードできる形になっています。行政や研究機関が復旧計画を検討する際の基礎資料として活用が見込まれます。
空中写真から判読した斜面崩壊・堆積分布データ
国土地理院は、7月29日に撮影した空中写真(正射画像)をもとに、八代地区における斜面崩壊や土砂の堆積箇所を判読し、7月30日に地理院地図上で公開しました。地震直後の被害状況を面的に把握できるこうしたデータは、余震や大雨による二次災害の危険箇所を特定するうえで重要な情報源となっています。

出展:国土地理院
国土交通省「通れるマップ」による道路情報の可視化
国土交通省は、被災地の道路通行状況をまとめた「令和8年熊本地震 通れるマップ」を公開しています。通行規制中の区間や、緊急車両が通行可能な区間を地図上で確認できるほか、道路規制情報とETC2.0の速度データ(平均速度)については、更新のたびにGeoJSON形式のGISデータとしてダウンロードが可能です。2026年8月5日時点でも継続的に更新が行われており、発災から1週間以上が経過した後も、現場の状況把握や支援物資輸送のルート検討に活用されています。
- 通行規制情報:規制区間・緊急車両通行可能区間を地図上に表示
- ETC2.0速度データ:更新日時ごとの平均速度をGISデータとして提供
- GeoJSON形式での提供:外部システムとの連携・独自分析がしやすい形式

出展:国土交通省
G空間情報センターによる民間データプロバイダ情報の集約
G空間情報センターを運営するAIGID(社会基盤情報流通推進協議会)は、「リアルタイム災害情報提供システム」を通じて、災害時のデータ提供に関する協定を結んだ民間企業(データプロバイダ)からの情報を集約・地図化しています。令和8年熊本地震では、九州エリアの車両通行実績情報、携帯電話ネットワークから作成された1時間ごとの人口統計情報、航空測量会社による緊急撮影の斜め写真・微地形判読図、ハザードマップ情報などが順次公開されており、行政機関の公式データとあわせて被災状況を多角的に把握できる仕組みとなっています。

出展:G空間情報センター
また、熊本地震関連情報サイト一覧についても掲載がありましたので、共有させてください。
★注意★ご自身の責任のもと、出典元の規約等をご確認のうえご利用ください。
20260728熊本地震関連参考情報リンク(Google spread sheets)
エムベースからひとこと
今回のように、GISや位置情報技術は平時のビジネス活用だけでなく、災害時の迅速な状況把握や復旧支援にも大きな役割を果たします。エムベースでは、地図・位置情報を活用したシステム開発をワンストップで支援しており、GISデータの可視化基盤の構築や、Google Mapsと国土地理院データを組み合わせたアプリケーション開発などにも対応しています。
位置情報関連の開発でお悩みの方は、ぜひエムベースの位置情報開発サービスをご確認ください。
まとめ
令和8年熊本地震では、衛星SAR解析による地殻変動の可視化、空中写真判読による被害状況の把握、そして国土交通省「通れるマップ」による道路情報の公開など、位置情報・GIS技術が災害対応の最前線で活用されています。弊社もこうした社会的な取組みをサポート出来る様に精進してまいります。
- 国土地理院はSAR干渉解析と活断層図で地殻変動・被害状況を可視化
- 空中写真判読データにより二次災害リスクの把握を支援
- 国交省「通れるマップ」で道路の通行可否をGISデータとしてリアルタイムに提供





